恋愛至上主義の女

暇を持て余した女子大生が好奇心で潜り込んだ世界の備忘録。

はじめての約束

 

 

 

↓前回のお話

 

 

 

 

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入部を決めて最初の週末は市民大会だった。

 

 

 

 

市内の高校が集まる小さな大会。

の割にVリーグなどの大会も行われるような

体育館で行われた。

 

 

 

 

 

彼は既にユニホームを与えられていて

先輩達を差し置いてスタメンだった。

エースの先輩の対角。

 

 

 

わたしの目には彼だけが光り輝いて見えた。

 

 

 

 

色眼鏡もあったが

実際彼は県代表の中学選抜チームに選ばれていたし

中学校の部活でもそれなりに成績を残していた。

 

 

 

 

彼が眩しくて眩しくて

白馬の王子様にしか見えていなかった。

 

 

 

 

 

そんな彼よりさらにすごい経歴をもったキャプテンがいた。

 

 

 

 

 

わたしの高校は

工業高校を抑え市民大会で優勝した。

 

 

 

 

震えた。

 

 

 

市民大会といえど、そこそこの進学校

こんなに簡単に優勝してしまうなんて。

 

 

 

 

この先の3年間を

彼らと過ごすことを想像したら

楽しくて仕方ないだろうと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、優勝記念品として

スポーツタオルを貰えたのだが

数に限りがあって一年生は貰えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「あのタオル欲しかったなぁ」

 

と呟いた私に

 

 

 

 

「俺らの代でも優勝して、絶対タオル貰おうな」

 

と笑顔で約束してくれた彼。

 

 

 

中島健人もびっくりな神対応

私はすっかり少女漫画の主人公になった気分で

幸せいっぱいだった。

 

 

 

この約束を叶えることは絶対にできない とも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしにとって彼は特別だった。

部員で同期では圧倒的エースでクラスメイト。

 

 

彼も、自分の部活のマネージャーが

クラスメイトだと何かと話しかけてくれたり

頼み事をしてきた。

 

 

入学して半月も経たない頃にしては

私たちの距離は近すぎた。

 

 

クラスの女子は、お似合いだと騒いでくれた。

わたしも彼のことが好きだったし満更でもなかった。

それでも そんなことないよ、と言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

でもクラスにはもう1人、

彼に惹かれてる子がいた。

 

共にマネージャー志望だったあの子だ。

中学ではソフト部だった彼女は

結局野球部のマネージャーになった。

 

 

 

密かに想いを寄せていた彼女は

チヤホヤされている私から距離を置くようになった。

そしてその雰囲気の苦しさに耐えれず

ある日の昼休み、隣のクラスに行き

中学の同級生の前で泣いた。

 

 

 

急に私が悪者になった。

 

 

その話を聞いた彼もまた

私を避け彼女に構うようになった。

 

 

 

 

なんで?私何もしてない、よね、、?

 

 

 

 

 

 

その頃、部活では衝撃の事実が発覚した。

 

 

 

 

部内恋愛禁止

 

 

 

これは代々キャプテンが謳っていることで

勝ちにこだわり、質にこだわるが故にのルールだった。

 

 

 

 

 

 

そして同時に親にはマネージャー業を反対されていた。

悩んだ、マネージャーを辞めてしまえば、、。

でも彼とうまくいく保証なんてない。

 

 

 

 

 

 

私はマネージャーとして彼の側にいる方を選んだ。

確実に側に居られると思ったから。

マネージャーを無下にはしないだろう、と。

 

 

 

 

 

でも私の考えが甘かった。

彼はそんなに優しい男ではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラスメイトの女の子の一件から

私と彼の間には急速に溝ができた。

 

 

 

 

 

あんなに仲良さげだった2人が、、?

 

 

 

 

教室の空気は明らかに困惑していた。

 

 

 

 

この頃からいつも

教室の雰囲気を支配していたのは

彼と私の関係だった。

それに嫌気がさしていたクラスメイトも大勢いた。

でも、良くも悪くも、私達は目立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この先、私は

彼に振り回され続けることになる。

 

 

 

 

でもね、今振り返ると

あの頃に戻りたくて仕方ないよ。