恋愛至上主義の女

暇を持て余した女子大生が好奇心で潜り込んだ世界の備忘録。

初めてのマッチングアプリ

 

 

 

 

 

 

 

今でこそマッチングアプリ

1つの出会い方のカタチとして

広く普及し定着しつつありますが

まだpairsの会員数が現在の半分

約400万人だった頃のお話です。

 

 

 

 

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遡ること2年半前、

あれは1度目の大学3年の4月。

 

 

 

 

私は失恋をして大切なものを失った喪失感を引きずっていた。

 

 

実際は恋愛としては大したものではなかった。

たった2ヶ月ほどつきあった彼氏に振られた。

ちょうどバレンタイン直前のことだった。

京都に住んでいた彼のお家には2回泊まりに行ったが

キス以上の関係に進むことはなかったし

付き合っていた間も3回しか遊んでない。

振られた理由も、やっぱり遠距離はしんどいとか、

就活が始まり忙しくなるとか、そんな理由。

 

 

ただ、彼と出会ったのは高校2年の時で

彼氏になる前は数少ない仲のいい男の先輩だった。

 

 

“彼氏”と別れたことより、

“先輩”が一人消えたことが喪失感の原因だった。

 

 

 

 

 

失恋には時間薬と男薬

問題は次の『男薬』をいつ飲むか?

早過ぎても効かないし、遅くてもダメ。

あと、飲み過ぎもダメね。

 

 

 

これは 西村しのぶ の サードガール

という漫画の作中に出てくる台詞で

中学生の頃、母親の本棚の本や漫画を

読み漁っていたときに出会った。

お気に入りの言葉だ。

 

 

 

 

 

 

 

この 男薬 を求めて

20歳も半ばを迎える私はpairsをはじめた。

 

 

 

 

会員数はまだ全国で400万人

まともな都市が名古屋しかなく

ユーザーが少ないであろうこの東海圏において

 

20歳 女子大生 彼氏なし

本気で出会いを求める美女

 

が突如マッチングアプリに現れたら?

 

 

 

 

来るは来るは いいね の嵐!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

現場、工場勤務、営業マン、大手企業勤務、医師、自営業

23歳くらいから40過ぎまで

ぶす、ぶす、汚い、禿げ、汚い、ぶす、普通。

 

 

 

 

よりどりみどりとはこういうことを言う。

まさにそんな感じ。(ぶすばっかだけど。)

 

 

 

流れるカードの山を眺めていたとき

一人の男が目に留まった。

 

 

 

プロフィール写真の自撮りは

ナルシスト感が満載だが、まあ盛れていた。

だいぶ髪型と金髪に引っぱられていたと思うが

NEWSの手越祐也を素人にした感じ。

 

 

matome.naver.jp

 

(この柏木由紀とのスクープ記事の写真をイメージして読み進んでください)

 

 

 

 

24歳 大学院卒 大企業勤務

 

ほう。

 

 

 

 

 

タップして自己紹介欄を詳しく見ると

 

 

 

大学院卒(慶應)

大手自動車メーカー勤務

最近、豊田市に引っ越してきました。

 

 

 

となっていた。

で、で、でた〜〜!!!!

噂の!慶應ボーイ!!!!

(慶應ボーイてお前いくつだよ)

 

 

 

 

東京の、日本の私立大学最高峰の学生の中にいた男。

企業売上全国1位、

日本が誇る世界的企業  某自動車メーカーに勤める

ホストみたいな外見の男。

 

 

 

 なんかおもしろそーじゃん?

 

 

 

 

さっそく いいねありがとう を押した。

 

 

 

 

 

そこからメッセージのやりとりをして、

LINEを交換して、通話もして、

満を持しての決戦はGWに決まった。

 

 

 

 

 

今思えば、会う前から

彼はとてもつまらない男だった。

 

 

 

通話をすれば

 

自分語り、仕事自慢、慶應自慢、友達自慢。

東京が好きだから帰りたい、

名古屋なんてつまらない。

 

 

案の定、スーパーナルシスト。

通勤中に自撮りを撮って送ってくる、そういう男。

 

 

私のちょっとした言動に対しても

可愛い可愛いと連呼するし

好きとか簡単に言うし

しまいには会ってもない女に付き合おうとか言いだす始末。

 

 

 

 

遊ばれてるんだ、とおもった。

当時の私はそう思った。

 

慶應卒の○○自動車の新入社員に遊ばれる。

 

 

そんなのはごめんだった、反面、

付き合ったら自慢になる?

というなんともしょうもない気持ちもあった。

 

 

 

 

 

 

 

ともかく決戦はGW、

食われるくらいなら食ってやる。

そんな心意気で挑んだ、初めてのアポイント。

 

 

 

 

 

 

 

GW某日、名古屋駅

 

 

無難に金時計で待ち合わせ。

市内で単発のイベントスタッフのアルバイト後だった私は

白シャツに黒スキニーというハイパーやる気のない恰好だった。

服を持ってきて着替えることも出来たけど、

やる気満々、全力で挑んでるなんて思われたくなかった。

私はまだ20歳、売れ残りのおばさんじゃない。焦ってなんかない。

 

 

 

 

  

 

pairsのプロフ画は金髪だったけど

社会人だから既に黒髪なことは分かっていた、

送られてきた自撮りも黒髪だったから。

 

ちょっと不細工な黒髪の手越祐也をイメージして待っていた。

 

 

 

 一般人にしてはそこそこのイケメンが来るはず

そう思っていた、のに、、

 

 

 

 

数分後、待ち合わせ場所に現れたのは、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

www.instagram.com

 

 

 

 

\\NON STYLE 井上//

 

 

 

 

 

 

いやいやいやいやいや、、、

ちょっと待て。

 

 

 

 

 

 

確かにちょっと不細工な手越だった。

pairsの写真だけでなく、

送られてきた自撮りも、

LINEのプロフィール画像

過去のプロフィール画像

 

 

ぜーーーんぶ不細工な手越祐也だった。

 

 

 

 

 

 

 

なのに、いま、私の目の前にいる男は

どっからどう見ても、NON STYLE 井上だ。

 

 

 

詐欺にもほどがある。

 

 

一気にやる気のなくなった私。

ノンスタ井上がツボ過ぎた私。

 

 

合流後3秒で帰るなんて言えず、

 

 

「いこっか」

と笑顔で言う彼に無言でついていくしかなかった。

 

 

 

 

 

「なにたべたい~?」

なんて聞かれても、井上すぎるその顔を見て

吹き出しそうになるのを堪えるのに必死だし、

そもそも食べ物に関心がないので、なんだってよかった。

 

 

この360°どこから見てもNON STYLE井上な男が

文明の利器の力で自撮りなら手越祐也になれる

という現実をどうしても友達に伝えたい。

いや、見せたい、、、。

 

男の人が女の人の詐欺写真に騙されるのはよく聞くが

まさか、女である私が、騙されるなんて。

しかも顔半分隠してたとか、SNOWの動物だったとかでなく。

お前はガラケー時代のギャルかよ、、。

 

 

 

 

そんなことばかり考えていたら

気づいたら店内にいた。

 

 

 

www.hotpepper.jp

 

 

 

 

 

え、しゃぶしゃぶって、、、

 

ま じ か ! 

 

 

私は決して潔癖症というわけではないけれど

 

ノンスタ井上と同じ鍋をつつくのは

ちょっと、いやかなり無理だった。

 

 

 

 

正直、ここからはあまり思い出したくない。

 

 

 

箸の持ち方が汚かった。

お皿を綺麗に持てなかった。

お肉や野菜の入れ方が雑だった。

などなど、、

 

ガサツさが随所で垣間見えた。

 

 

 

 

慶應なのに、育ち悪いのかな、、

なんて思っていたら

なんと出身は福岡で大学から慶應だった。

 

 

おいおい、要はメッキかよww

(名古屋ネタです。金城学院というお嬢様学校があり、

中学からの子を純金、大学からの子をメッキと呼ぶんです。)

 

 

 

 

 

 

 

 

そうそう、話はズレるが

食事の仕方が汚い男は

本当にやめたほうがいい。

 

これは私の抱かれてもいいかどうかの一つの判断基準なのだが

食べてる姿を不快に思う男とは

もっというならば、

一緒に食事をしてなにか違和感を覚えるのなら、

その男とは寝ないほうがいい。

ほぼ確実に、生理的な部分の相性が悪い。

 

私は、ご飯をかけこむように食べたり

ポロポロこぼしたり、早食いしたり、

そういう男とは絶対に寝ない。

そういう男はだいたいセックスも

雑でせっかちで自分本位だと思う。

 

どうせするなら

丁寧にゆっくりいいムードな中で

ロマンチックに、行為に及びたいのに

こういう男はだいたい途中でムードをぶち壊す。

ならいっそ黙っててくれ、と言いたくなるくらいに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食事中の会話はほとんどが

仕事の話か大学時代の話。

 

 

どうやら慶應生のPCはMac率100%らしい。(心底どうでもいい)

でも話を聞いているうちに、

どうやら学生時代住んでいたのは、横浜、、、

そう、三田キャンではなく

 

 

 SFC(湘南藤沢キャンパス)

 

 

 

金髪の有村架純が話題になった

ビリギャル で全国に広く知れ渡ることとなったあれ。

誰でも入れる、慶應ではないとまで言われた あのSFCだった。

 

 

 

 

なんだよ、SFCかよ。

ここで私のやる気メーターはゼロになった。

 

 

 

慶應だったって偉そうにしてるから

どんなものかと思えばSFCだし、

三田キャンじゃないんかーい。

しかもなんなら内部でもないから

親が特別スーパーお金持ちってわけでもない。

 

 

 

 

 

え?なにこれ、全然面白くないんだけど?

私の求めてた面白さ皆無なんだけど?

 

 

 

東日本大震災の時、計画停電になってる中

大臣が住んでる地域に住んでたから

停電にならなかったんだって。

 

へーーーーーーー。で?

 

 

 

 

好奇心が全然満たされない。

私が出会ってみたかったのは

こんな男じゃない。

 

 

 

 

 

 つまんない

 

 かえりたい

 

 つまんない

 

 

 

 

 

 

 

箸の進まない私。

対して、楽しそうな男。

早く食べ終わらないかなーと思っていた。

 

といっても別に食べ放題ではないので

簡単になくなる。

 

 

それでも話が長引くかと思ったら

意外とあっさり会計に向かった。

  

 

 

なんだよ~、意外と空気読めるタイプ?

 

 

 

 

お会計も済ましていただいて

(勿論、向こうもち、いやだって私、学生だよ?w )

 

 

 

私「ありがとうございます、ごちそうさまです。」

 

男「いいよいいよ~

  どうする?これからドライブでも行く??」

 

私「え、、。」

 

男(満面の笑み)

 

私「明日もバイトで朝早いんで帰ろ

 

男「え!?!???!!せっかくわざわざ車で来たのに!?!」

 

私「ごめんなさい、でも明日も5時起きで(大嘘)」

 

男「そっか、、、じゃぁ仕方ないね、、」

 

 

 

 

そうして私たちは

セントラルタワーズ13階から

エスカレーターで1階までおりた。

 

 

 

今しかない、そう思った。

 

幸か不幸か、彼は私の嘘を信じていて

私の前でこちらを向いてエスカレーターに乗って

笑顔で話し続けている。

とても鈍感なようで

もう二度と会うことはない なんて思ってないらしい。

 

高さは私のほうが1段上。

iPhoneをチェックする高さで

自然に隠し撮りできる! 

 

 

絶対に気づかれずに

ベスト井上ショットを手に入れる。

それだけに神経を研ぎ澄ませた。

 

ツーショットなんて頼もうものなら

全力で盛ろうとしてくるだろう、

それでは意味がない。

 

今日の私の衝撃を友達と共有するためには、

絶対に、ノンスタ井上でないといけなかった。

 

 

 

 

 

 

 

男「ねぇ?聞いてる?」

 

私「えっ?きいてるよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 セーーーーフ。

 

何とか気づかれることなく

ベスト井上ショットを手に入れた。

 

 

 

 

 

 

 

男「あー、今日暇になっちゃったなー」

 

私「ほんとごめんなさい、、(まじめんどいな)

  私こっちなんで。今日はありがとうございました。」

 

男「いえいえ、こちらこそ~、また今度はゆっくり遊ぼうね!明日がんばってね。」

 

私「はい。」

 

 

いうまでもなく

この“はい”は、明日がんばってね に対する返事であって

もう二度と会うことはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

無事手に入れたベスト井上ショットと

LINEのプロフィール画像のスクショを

友達に送りながら電車に揺られ帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 pairsって思ったよりつまんないのね。

それからしばらくして、私はアプリを退会した。

 

 

 

 

 

 

けれども私の冒険はまだはじまったばかり、

今後、好奇心の赴くままに

さまざまな世界に迷い込むことになる。

 

 

to be continued